ある朝、なかよしのことりが突然しんでしまったくま。

ドッキっとするお話しでこの物語は始まります。

くまは手作りの箱に花びらをしきつめて、そっとことりを入れ、持ち歩くようになります。箱の中を見るたびに、困った顔をする森の動物たち。そしてみんな決まって言うのです。「くまくん、ことりはもうかえってこないんだ。つらいだろうけど、わすれなくちゃ」
くまは、暗くしめきった部屋に、ひとり閉じこもってしまいます。ある日、久しぶりに窓を開けたくまは、そのお天気のよさと草のにおい、雲の白さに誘われ歩き出すと、新たな出会いが。くまの心に寄り添い受け入れてくれる新しい友。くまに新しい光あふれる時が戻ります。

胸が締め付けられそうになる深い悲しみもありながら、最後は静かな感動が心にしみる物語。

この絵本との出会いが、はぎの家で本(絵本)をお客様に読んでいただきたいと蔵書を増やしていくきっかけになりました。

「死」について優しくあたたかく丁寧にかかれているお話しです。

「くま と やまねこ」文:湯本香樹実 絵:酒井駒子 河出書房新社