この物語はハルばあちゃんの手を主役にハルばあちゃんの生涯が描かれています。生まれたての手、あやとりをする手、かごを編む手、悲しみ顔を覆う手、わらぞうりを編む手、ケーキを作る手、盆踊りで舞を舞う手。モノクロの鉛筆で描かれた手はハルばあちゃんの人生が刻まれており、歴史と社会が変わっていくなかで懸命に生きたことを感じさせられます。

 

ハルばあちゃんが子供の頃、手先が器用でかごを編んでいたことをきっかけに生涯を添い遂げることになる夫・ユウキチと出会います。その後15歳になったハルは戦争で父を亡くし、病気で母を亡くしました。深い悲しみに暮れながらも、ハルは男に交じって働き続けました。そんな時再開したのがユウキチでした・・・。

 

ハルの生涯を貫いた深い愛が大河ドラマのように胸に迫ってきて、とても感動させられます。モノクロの鉛筆画が物語をより奥深く表現しており、ハルばあちゃんの手を通して生きるということを深く考えさせられる本となっております。

 

「ハルばあちゃんの手」 作:山中恒 絵:木下晋 出版社:福音館書店